プラセンタ

プラセンタ

プラセンタは胎盤エキスとも言いますが、胎盤には、胎児の成長に必要な様々な細胞間情報伝達物質(これをサイトカインと言います)が豊富に含まれています。紀元前から胎盤は医薬品として利用され、漢方薬としても使われてきました。

20世紀になるとヒトプラセンタを皮下に埋め込む組織療法が考案され、やがてヒトプラセンタ抽出エキスを注射剤にすることができるようになり、さらには豚、牛、馬プラセンタが化粧品やサプリメントにも応用されるようになりました。

プラセンタには各種成長因子や細胞間調節因子であるペプチドやアミノ酸、ビタミンやミネラルが含まれています。プラセンタが特に優れているのは、そこに含まれている成長因子や情報伝達物質によって、ダメージを受けた細胞を修復したり、新しい細胞の増殖を促進したりする作用です。

このヒト胎盤エキスを注射液にしたものが、メルスモンとラエンネックで、ともに約60年前に医療保険適用薬として認可された医薬品です。保険適用病名としてメルスモンは更年期障害、ラエンネックは肝疾患となっていますが、ともに細胞修復能力を有するサイトカインを豊富に含んだプラセンタで、各臓器や傷んだ末梢神経、筋肉なども修復する能力を持っています。もちろん美容にも積極的に使われていて、正確な数字ではありませんが、90%以上のプラセンタが、日本では美容目的に使われているようです。

美容目的で大量に使われているのが影響しているかはわかりませんが、保険適用となるのは1回に注射1アンプルだけで、それ以上の量を注射する場合は自費となってしまいます。近くでしょっちゅう受診できる人はいいのですが、1週間に一度、あるいは2週間に一度の注射の場合は1アンプルだけでは不足と言えるでしょう。そのため当院では自費でも大したご負担にならないような料金設定(2アンプル1,200円)にしています。

プラセンタの長所は、通常の薬物のように合成化合物1成分で薬として成り立っているのではなく、多くのサイトカインが含まれており、それらが互いに制御しながら効果を発揮するところにあります。

例えば、白血球の放出する細胞間情報伝達物質をインターロイキンと言いますが、10種類を超えるインターロイキンがお互いに制御しながら、侵入した外敵を無力化するわけです。

しかし、この作用が優れているからといって1成分を取り出して薬物にした、例えばインターフェロンは、効果もさることながら副作用も相当なものです。多様な成分が互いに制御をしてこそ有用で副作用のない働きをするものなのです。

これと同じで、プラセンタもどれか1成分だけを取り出して製剤化していれば、今のように多様な効果を上げることができなかったかもしれませんし、なにか副作用が目立つものとなったかもしれません。メルスモンもラエンネックもこの60年間、医療的な問題は起こしていません。安心して受療してください。

『プラセンタの薬理作用』

活性酸素除去作用、強肝・解毒作用、自律神経調節作用、内分泌調節作用、免疫調節作用、基礎代謝向上作用、抗炎症作用、血行促進作用等があります。

このため、以下のような様々な疾患に有効とされています。

  • 気管支喘息、花粉症、アトピー性皮膚炎等のアレルギー関連疾患
  • 気管支炎、結核、心筋梗塞、狭心症、高血圧等の心肺疾患
  • 肝炎、肝硬変、胃潰瘍、慢性胃炎、十二指腸潰瘍等の消化器疾患
  • 慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患
  • 糖尿病等の代謝性疾患
  • 腰痛、椎間板ヘルニアの痛み、五十肩、腱鞘炎、筋肉痛、しびれ、神経痛、関節炎等の

整形外科疾患

  • 更年期障害、生理痛、子宮筋腫、乳汁分泌不全等の婦人科疾患
  • 湿疹、潰瘍、皮膚炎、じんましん、シミ、肌荒れ等の皮膚科疾患
  • 尿道炎、膀胱炎、インポテンツ、前立腺肥大等の泌尿器科疾患

その他、不眠症、自律神経失調症、肩こり、かぜ、冷え性、頭痛、慢性疲労、めまい等にも効果があります。